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魔法のカクテル 18

作者: 煉彩
last update 最終更新日: 2025-09-03 22:09:32

「ねぇ。ここ、あなたの家?」

 話題を変えてみる。

「そうだよ。俺の家」

 その返答に、また加賀宮さんの謎が深まる。

 お金持ちなのか、そうじゃないのか、どっちなの?

 細かく詮索しても、きっと彼ははぐらかす。

「あなた、何者?私のこと、どうして知っているの?私を呼び出して何がしたいの?こうやって指示に従って今日はここへ来たの。一つは教えてくれたっていいじゃない?」

 一気に伝えてしまったけど、彼はどんな反応をするんだろう。

「そうだな。じゃあ、一つだけ教るよ」

 私は真っすぐに彼を見据える。

「お前をここへ呼んだのは……」

 次の瞬間、手を引かれ、ベッドに引き寄せられた。

「キャッ」

 彼の力により、ベッドに飛び込む形になってしまった。

「えっ……」

 あっという間に反転させられ、目の前に彼の顔があった。

 両手は彼によって塞がれ、馬乗りになられているため、身動きが取れない。

「ちょっと!何をする気?」

「お前をここに呼んだ理由は、昨日の続きをしたいから。ただそれだけ」

 昨日の続き……って。まさか!

「いや!」

 拒否しても強引にキスをされた。

「んっ……。……んん」

 昨夜の記憶が甦る。

「はっ……。もうあのカクテルの効果は切れてるんでしょ?昨日みたいにはいかないから!」

「どうだろうな。おい、これは命令だから。抵抗するなよ」

 加賀宮さんは言葉や態度とは違って、優しく私の身体に触れていく。

「っ……!」

「服、脱いで?」

 命令……だから。従わなきゃ。

 私は自分の洋服を脱いだ。

 彼も上衣を脱ぐ。

「キスマーク、付けないでよ!」

 私がそう伝えると彼は笑った。

「あぁ。気をつける」

「気をつけるって。あっ……」

 彼の唇が首筋、鎖骨に触れるたびにビクっと身体が反応する。

 そして、昨夜のように下着を外され、感度が増す部分を責められて……。

「……!」

 手のひらをギュッと握り、耐える。

 命令、逃げられない状況なのに。

 どうして怖くないんだろう。

 イヤだと思わないの?

「痛くない?」

「えっ……?」

 痛くない?って聞いてくれた。

 夫にはこんな言葉、かけてもらったことない。

「うん」

 私の返事を聞いて、彼が「良かった」小さな声で呟いた。

 加賀宮さんがどういう人なのか、全然理解できない。

 昨日、BARで話を聞いてくれた時は優しい
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